「極楽飯店」


 この本は、やがては誰もが歩むであろう死後の世界の物語。中盤に差し掛かり大切なキーワードになる五芒星の行りから一気に物語へと引き込まれてしまった。
 面白いことに読み進めるにつけ、頭で理解しようとすると体がついていかない。途中で何度も急な睡魔におそわれて体ごと持っていかれてしまう。目を覚ますと、読んでいた記憶が全部飛んでいて思い出せない。しかたなく少し前から読み直すのだけど、それは幼少の頃の遠い記憶を呼び覚ますようで、明らかに時間軸が歪んでいた。多分、誰もがラストを迎える頃には、やっとたどり着けたという何とも言えない達成感を味わうことになるのではなかろうか。

 遠い記憶の中に埋もれてしまった死後の世界を体感するための一品。極楽飯店のこの味がどうにも忘れられない。
Amazon「極楽飯店」
極楽飯店 運黒斎
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