「目の見えない人は世界をどう見ているのか」


 まるで集中講義を受講している気分になった。

単元ごとに体系的にまとめられた項目を余すことなく積み上げることでより鮮明に全体像が見えてくる。
 そうと分かれば、ゆっくりと読み進めればいい。理解を深めながら進んでいくことこそこの手の本を読む醍醐味なのだから。
また、この本は脱線することを前提に組み立てられている節がある。そこかしこで引用されている参考文献にも著者目線にたって読みたくなってしまうのだから。
 そうして二冊三冊と積みあがっていく書籍を横目にあらためてページを開き講義に向かう喜びを味わっていただきたい。 
 人と人とを分け隔てる境界線を越えていくための想像力をぜひこの一冊で。


「目の見えない人は世界をどう見ているのか」伊藤亜紗著(光文社新書)
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